スマートグリッドの基礎知識

次世代の電力ネットワークであるスマートグリッドについての話

発電所から自宅まで

スマートグリッドを理解するためには、電気がどのようにして発電所から我々の家庭や職場まで届いているのかを知っておく必要があります。


まず発電所で作られる電気は大電流、低電圧となっており、これをそのまま送電してしまうと、電線を通る間の抵抗により、どんどん電力をロスすることになります。


ちなみにこの電力ロスは、電流の二乗に比例して大きくなるので、このロスを減らすためには電流を小さくすればいいということになります。


そこで電流を小さくしつつ、同じ電力を送るために、電圧を上げればいいということになります。
ここで出てくるのが「電力(W)」=「電流(A)」X「電圧(V)」。


つまり発電所からは高電圧に変電した電力を送り出し、家庭に近づいてくるにつれて、再び電圧を下げていくということになります。


発電所では2万ボルト以下の低電圧が作られ、そこから電力ロスをなくすために、27.5万~100万ボルトに昇圧し超高圧線で電力が送電される。


さらに15.4万ボルトに降圧され特別高圧線で送電されたものが変電所で6600ボルトにに降圧され、電柱などで100ボルト、200ボルトに降圧され、家庭に配電される。

送電ロスとは…

スマートグリッドとは?

実はスマートグリッドというのは、様々な使われ方があり、アメリカなどではスマートメーターによる省エネのことであったり、日本においては既に送電線網がしっかりしているので、この時点でスマートグリッドだなどと言われることもありますし、具体的になにを指すのがわかりにくかったりするのですが、ここ最近ではスマートグリッドの概念として、「供給と需給の双方向性を持つ、電力と情報の新しいインフラ」だという考えがあり、このポイントを押さえておけば、どんな場合において発言されていたとしても、そのイメージ像はつかみやすくなっています。



さて、ここ最近注目となっている「スマートグリッド」なのですが、実は日本の場合、巨額の資金を投じて送配電網をしっかりと構築してきたこともあり、すでに「スマートグリッド」が確立されており、スマートグリッド先進国だと言われることもあるんです。


というのも、アメリカを例に挙げると、電力の自由化によって数千もの電力関連会社が乱立し、送配電網を集中管理することが難しくなり、しばしば大規模停電が起こり、経済に大きな損失を与えていたりするのです。


これは、日本においては考えられないことですよね。


とはいえ、日本のスマートグリッドも先ほどの「双方向性を持つ、電力と情報のインフラ」という点からみれば、IT化が進んでいるとは言えず、実質的なスマートグリッド化が十分であるとは言えません。

はじめに

東日本大震災以降、電力のインフラを見直すという動きが活発化し始めていきました。


これまで、あることが当然であった「電力」が震災によってもろくも崩れ、しかも電力会社が独占しているという市場に対して大きな疑問を持つようになり始め、議論や関心が集まってきています。

結局のところ、電力会社に問題があり供給できなくなった場合、それに代わるものがなく、私たちの生活や安心は電力会社だけに依存していたのです。


そんな中、スマートグリッドという考え方も生まれ、次世代の電力ネットワークを生み出そうという動きが活発化してきており、これまでのように私たちも何も知らずに電力会社に任せっきりだったという姿勢を見直し、スマートグリッドとはなんぞや?というところから、基礎的な知識を持ちつつ、リスク回避のための知恵を学んでいければいいなと思っています。