スマートグリッドの基礎知識

次世代の電力ネットワークであるスマートグリッドについての話

これからの電気メーター

これまで世界で使われてきた電気メーターは、電気の消費量を累積で示すものとなっていて、毎月どれくらいの電気を使ったのかを知るためには、現在の数値化から、前回の数値を差し引くといったアナログな図り方で、検針員が点検にいくというものでした。



昔は毎月ほぼ同じ日に検針員が検針し、その数値を手書きし使用者にお知らせし、その後、使用料や電気代を通知するという流れだったのですが、現在では、携帯端末に数字を打ち込めば電気代を計算しプリントアウトするというシンプルなものとなっていますが、それでもメーターの数字を人間の目で確認するという作業があり、できれば遠隔地より自動で検針できればいいという考えはあったのですが、自動検針に要する新しいメーターシステムを構築するための費用や経費が、検針員を送り検針するよりもコスト高なうえ、検針員の雇用も関係することから、なかなか本格的に稼働することはありませんでした。


現在の日本のメーターはほぼすべてにおいて数字で読み取れるようになっているのですが、世界を見回すとまだまだ昔ながらのアナログなメーターが広く使われています。


とはいえ、電気メーターには正確性が求められますので、その精度を確保するためにどこの国でもメーターの検定は行われていて、日本では精度が落ちないよう、10年で取り換えることになっています。

電力の品質

電力の品質というのは、以下のような指標によって決まります。

  • 電圧の大きさと波形が一定。
  • 周波数が言っての範囲以内
  • 停電しない

つまり、電力を使う側からすれば、24時間いつでも使うことができ、ショートしたり漏電せず、使っている電気製品が故障することなく、その機能を発揮できるということが望ましい状態です。



これについては、利用する側からすれば「当たり前」のようなことなのですが、実は電力の品質を保つためには送配電側の高い技術と信頼の高いシステムが必要となります。


そもそも日本の一般家庭に届けられる電気の電圧は100Vなのですが、子の電圧が急に高くなってしまうと電化製品がショートしたり、最悪の場合発火してしまうなどの恐れがあります。


そして日本の周波数は、東日本が50Hz、西日本が60Hzとなっており、これが変化すれば発電機もインバータが入っていない家電製品のモーターも回転数がかわってしまいます。


発電量が多いけれど消費が少ない場合、周波数は上昇しますし、発電量が少ないのに消費が多くなってしまうと周波数は下降してしまい、この周波数が1Hz以上ずれてしまうと系統崩壊の可能性も上がりますので、この調整を行う必要があります。

発電量を調節するためには

真夏の一日の電力消費量は午前8時くらいから増え始め、午後2時から3時くらいに最大ピークを迎え、この数値は夜間のほぼ2倍となります。



発電には、石油火力発電や原子力発電の他、複数の方式があり、それぞれの特徴を活かしピーク時の電力不足に備えているのですが、夜間には発電しすぎることがないように細やかな調整が行われています。


その調整は、気候や気温などが考慮され、秒単位でどの発電所の出力を上げるのか、下げるのかが自動調整され、最も経済的な方法がとられています。


というのも、電気は貯めることが難しく、原則的には需要と供給を常に一致させておく必要があるのです。


そんなことから、発電量が予測しにくい風力や太陽光では需要と供給のバランスを制御するのが難しく、そのため必要となってくるのが、電力の把握、制御を可能とするスマートグリッドなのです。